クルマを“故障させる”方法

クルマは故障しないにこした事はありません!

当然ですよね!?

そんな困るクルマの故障。

逆説的ではありますが、『こんな乗り方していると壊れる』、といった

事例を見ていくことで、クルマの故障予防になったら・・・と思います!

 

Case1:『朝は時間がないから、エンジンかけたら即全開です!』

 

これは意外と多いんではないでしょうか!?

エンジンかけてすぐに深くアクセル踏み込んで、ブオォ~~ン!って方!?

これは『エンジン』『A/T(もしくはM/T)』によろしくないです!!

クルマは機械ですが、人に例えたらこの状況は準備運動しないで

朝起きてすぐに100mダッシュ全力疾走するようなモンです・・・

心臓に悪いですねぇ~・・・。

 

クルマにとって好ましいのは、メーターのところにある水温計(温度計のマーク)が、

真ん中のところあたりを指すまで、優しくゆっくりと走ってあげること!

2000回転~3000回転あたりまでで、アクセルを優しく、浅く踏んで走るといいです。

 

エンジンやミッションは金属でできています。

金属は冷えている時よりも温まると膨張します。これが目には見えないレベルかもしれませんが、

『クリアランスの差』として冷えている時と温まっている時とで異なってきます。

さらに、『エンジンオイル』『ミッションオイル』粘度(ドロドロか、サラサラか)も異なってきます!

 

当然、温まっている時の方が油はサラサラになります。

MT車の人は、エンジンかけたばかりのオイルが冷えている時に、

シフトすると『入りが渋く』感じる事があると思います。

これはまだミッションオイルが固くて抵抗が大きいから

こんな時に力任せに無理にシフトすると、内部のギヤが欠けたり・・・

 

ただ、MTはシフトするときに『ギヤとギヤがぶつかる感触』

ノブを通じて手に伝わってくるので注意する事ができますが、

ATは、エンジンかけはじめの冷えている状態でも、

いつもどおりフツーに走ってくれるもんだから、

けっこうガンガン走っちゃいますよね・・・朝、一発目から・・・

こんな状態でATの内部はかなり酷使されていきます!!

 

しかも、ミション自体はエンジンみたいに内部で燃焼してるわけではないので、

エンジンの水温計が適正温度を示す=エンジンが温まっても、

ミッション内部はまだ冷えている事もあるのである程度の時間、

急発進・急加速を控え、丁寧なアクセルワークを心がけるだけで、

エンジンの寿命とともに、ミッションの寿命も大きく変わってくるはずです!

 

Case2:『車の中が自分の部屋みたいなものですから・・・!』

クルマって独特な空間ですよね~!

音楽やら映画やら、家庭用オーディオよりもクルマで見たり聴いたりしたほうが

いい感じだっていうくらい、AVに拘ってる方も多いんじゃないでしょうか??

 

こういったAVにこだわった車だけでなく、一般的な車でも

長時間アイドリング状態で、エアコンON・オーディオをガンガン鳴らして・夜だったらヘッドライトつけっぱなし!

こんな状態を頻繁に繰り返していると壊れてしまう部品があるんです!

それは『オルタネーター』=発電機です。

 

オルタネーターはエンジンからベルトを介して、内部の“ローター”とよばれる

いわば磁石が回転することで発電をします。

このローターの回転が速ければ速いほど、発電する電力は大きくなります!

例えば、60Aの出力を持ったオルタネーターでも

エンジンが800rpm程度のアイドリングの時には、たった数Aしか発電してないんです・・・。

こんなアイドリング状態で、電力を大量に消費するヘッドライト、エアコン、オーディオ、ナビ・・・etc.を

長時間使っていると、バッテリーの電力は使い果たしオルタネーターは常に発電をしなければならなくなります

(オルタネーターは通常バッテリーに蓄えられた電力がある程度消費されないと発電しないよう制御されています。)

オルタネーターは常に発電していると内部の部品が発熱しだし、部品の劣化が促進されたり、

部品がパンクしてしまい発電することができない状態=故障につながります!

 

この症状のせいで、1~2ヶ月毎にオルタネーターを交換している業種があります。

それは・・・代行業。そう、お酒飲んだ時に運転してもらうアレです。

居酒屋などに来てくれる代行のクルマ、軽自動車やコンパクトクラスのクルマが多いですよね!?

それらのクルマは、もともと発電量の小さいオルタネーターが搭載されています。

それなのに、屋根には行灯つけて車内には運送会社が使うような強力な無線機つけて、

クルマを使う時間は決まって夜間。客待ち中はスモールライトつけっぱなし・・・と、まさにオルタネーターを

壊すためにはうってつけな状況なんです。

 

長時間のアイドリング。

CO2といった環境問題以前に、オルタネーターが壊れたら、5万や10万すぐ飛んでいきます!

お財布の環境問題の方がすぐに影響します!!

思い当たる節がある方、不必要な時にはヘッドライトを消したり、といったクルマのちょっとした節電を

するだけで、オルタネーターの寿命が延びるかもしれませんよ~^^

 

Case3:『エンジンオイル?入ってれば問題ないでしょ!?』

エンジンオイルの交換って時間がかかるし、お金もかかるし、

別に普段クルマ乗ってても調子悪くないし、面倒だから車検の時に交換してるよ!

そんな方、意外と多いんじゃないでしょうか??

別に明らかにエンジンの調子が悪くなるわけじゃないから、

ついついサボってしまいがち・・・。

しかし、エンジンオイルの交換をサボると、とんでもない目にあいます!!

 

・エンジンの中身が真っ黒け!

・エンジンの金属同士が潤滑不良で焼付き!

・ターボ車なら、汚いオイルがまわってターボ破損!!

 

ちょっとした時間と費用をケチった事で、

10万円~の費用がすっ飛んでいくはめに・・・。

 

そもそもこのエンジンオイル、どのような成分でできているかというと、

①鉱物油or化学合成油

②極圧剤

③酸化防止剤

このほかにも清浄剤など色々と入っているわけですが、

外せないのはこの3点♪

 

①の原油から精製された鉱物油や、石油由来のケミカル原料から作られる

化学合成油に、②③といった『添加剤』を溶かします!

②の極圧剤は金属同士の摩擦を和らげ、金属が焼きつくのを防止します!

この効果は無限ではなく、エンジンが動いているうちにどんどん消耗され、

消耗した添加剤は、煤のようなスラッジに変化します・・・!

ここが重要なポイント!!

役目が終わった添加剤たちは、いわば『カス』になってエンジン内部の汚れ、

最悪はガム状物質などへと変化していきます!!

 

だから、エンジンオイルの継ぎ足しによる走行や、

アフターマーケットで販売されている“オイル添加剤”を継ぎ足して・・・

なんてことをずっと続けていると、もうエンジン内部は真っ黒けっけ

ベットベト!なんて状態になってしまいます!!

こうならないためにも、エンジンオイルはこまめに交換するのがいいです!

わたしの持論としては、一般的な使用環境であれば4Lで3,000円程度の

安いオイルでもいいので4000km~5000kmあたりで交換するのがおススメ。

あなたのおクルマ、エンジンのオイルフィラーキャップを外して裏側を見てください。

ガム状の汚れがついてたら、エンジン内部はかなりの状態だと思ってください!

 

 

Case4『ATのオイルは、交換してなければずっと交換しないほうがいい』

 AT車のミッションオイル=ATF

最近ではイエローハットなどをはじめとした量販店さんでもATF交換をさかんにPRしていますよね?!

このATF。たとえばあなたのクルマが5万km以上ATFを交換しないで乗っているクルマなら、

ATFは交換しないほうがいいでしょう・・・!

 

今までの話と一変!

『交換しないほうがいい』という事もあるんです。

ATFだって当然交換していたほうが、AT本体にとっても燃費やパワーにとっても

いいわけですが、5万km以上ATFを無交換のクルマが急に交換すると・・・

高確率でATが壊れます!!

 

ATの内部は複雑な迷路のようになっており、

その中にはオイル=ATFが潤滑をしながらエンジンの動力を伝える

油圧媒体にもなっています。

エンジンと同じように、ずっと交換しないでいるとススのようなスラッジがたまり、

いつしかATの油圧回路内に不純物として蓄積していきます。

ずっと交換していないATFはオイルがグダグダ(せん断)になり、正規の油圧がかからない状態になりますが

毎日乗ってたらあまり気づかないレベルでしょう。

この『正規の油圧がかからない』のがポイント。

ずっとATFを交換していないAT内部は、“ゆる~い油圧”の中

蓄積した不純物が回路内から押し出される事もなく共存した形が形成されています。

そんな状況の中、急にあたらしいATFに交換すると・・・

新しいオイルですからそりゃビンビンに油圧がききます!

さらにオイルの中に入っている『清浄剤』もバリバリにききますから、

油圧&清浄剤のWパンチで回路内にこびりついていた不純物が一気に押し流されてしまいます

 

その結果、油圧制御をする『弁』に不純物のカタマリが回ってしまい、

耐えかねる『変速ショック』!アクセル踏んでも走らない『滑り』!といった症状を引き起こします。

これがずっとATFを交換していないクルマはオイル交換しないほうがいいといわれる理由なんです。

 

たとえ話で5万km以上は・・・としましたが、

距離数は一概にこれと確定したものがないのが現状です。

ATFの交換をしてくれる店舗によっては、現状のATFをサンプリングしてスラッジなどの状況から

ATF交換しても良いか否かを判定するマシンを導入しているところもありますから、

不安な場合はそういった判定を見てみるのが良いかもしれませんね!

 

最後に

長々ととりとめも無い文章を最後まで読んでくださりありがとうございました。

ヒロは仕事上色々なクルマのトラブルを見てきましたが、

クルマに愛情を持って接し、健康管理に気を使っているオーナーのクルマには

あまり大きなトラブルは起きてないと思います。

クルマはただの機械かもしれませんが、その日によって調子も変わりますし

まるで生き物のような不思議な側面を持っていると思います。

クルマに慈しみをもって接し、クルマと会話・対話しながら乗るだけでも

きっとあなたのクルマの寿命やトラブルとの遭遇率は大きく変わるはずです。

わたしはそう思っています・・・。

皆様のハッピーなカーライフをお祈り申し上げます♪

 

2012年2月14日

このページの先頭へ

イメージ画像
プリズン・ブレイク